疾患概要
(患者・ご家族の方向け)

6) 3q29微細欠失/重複症候群

1. 「3q29(さんきゅうーにきゅう)微細欠失・重複症候群」とはどのような病気ですか

3q29微細欠失・重複症候群は、染色体3番のq29領域に生じる約1.6Mb程度の欠失または重複によって引き起こされる疾患です。この症候群は、神経発達障害や精神症状を中心に、成長障害、摂食障害、筋骨格系の異常、特徴的な顔貌など、様々な症状が特徴です。両親が無症状であるにも関わらず、コピー数異常が遺伝し発症することがあり、不完全浸透性が報告されています。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

具体的な数字はわかっていません。

3. この病気はどのような人に多いのですか

性別や人種差や生活習慣とは無関係に発症する可能性があります。欠失/重複を持つ場合、次の世代には50%の確率で受け継がれます。

4. この病気の原因はわかっているのですか

3q29微細欠失・重複症候群の大部分は、de novo(新生突然変異)によって引き起こされます。染色体3q29領域に存在するLCR(Low copy repeats)と呼ばれるDNA領域が関与し、非対立的な遺伝子相同組み換え(NAHR)によって疾患責任領域が欠失または重複します。具体的な責任遺伝子はまだ確立されていませんが、DLG1やPAK2などの遺伝子が関与している可能性があります。

5. この病気は遺伝するのですか

ほとんどの場合、新生突然変異によると考えられています。

6. この病気ではどのような症状が起こりますか

3q29微細欠失・重複症候群では、知的障害、発達障害(自閉症スペクトラム障害や注意欠陥多動性障害)、精神症状(不安障害や統合失調症など)を始めとして、成長障害、眼異常(斜視や乱視など)、歯牙の異常、心血管系の異常、消化管障害(胃食道逆流症や摂食障害、便秘など)、筋骨格系の異常(胸郭形成異常や四肢末端の異常など)、夜尿症など、全身の臓器に関連した症状が高頻度に認められます。一般的に微細欠失症候群の方が微細重複症候群より症状が重い傾向があります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現時点では根本的な治療法は確立していません。患者によって症状が異なるため、個々のケースに合わせた治療が必要です。特に眼科、歯科、心血管、消化管、腎泌尿器、神経・発達に関連する合併症については、優先的なケアが必要とされます。症状に応じた対症療法や療法士によるリハビリテーションなどが行われることがあります。専門家の指導のもとで継続的なケアを受けることが重要です。

8. この病気はどのような経過をたどるのですか

生命予後が不良であるという報告はありません。ただし、知的発達症に対しては、生涯を通じたケアが必要となります。症状に応じた適切な治療や支援を受けることで、生活の質を改善することが期待されます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

特に注意は必要ありませんが、合併症に応じた注意が必要です。

10. 次の病名はこの病気の別名又はこの病気に含まれる、あるいは深く関連する病名です。ただし、これらの病気(病名)であっても医療費助成の対象とならないこともありますので、主治医に相談してください。

該当する病名はありません。

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