疾患概要
(患者・ご家族の方向け)

39)15q25.2欠失症候群

1. 「15q25(じゅうごきゅうにご)欠失症候群」とはどのような病気ですか

15番染色体長腕(12q25.2領域)の欠失により、先天性横隔膜ヘルニア、貧血、発達の遅れや知的発達症、神経発達症(自閉スペクトラム症、注意欠陥多動症、学習障がい)などの症状をきたす疾患で、染色体微細構造異常症候群の1つです。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

正確な患者数は分かっていません。

3. この病気はどのような人に多いのですか

性別や人種差、生活習慣とは無関係に発症する可能性があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

15番染色体長腕(15q25.2領域)の欠失によって、隣り合って存在する複数の遺伝子が同時に障害されておこる隣接遺伝子欠失症候群です。15番染色体のこの領域(15q25.2-25.3)には、似たような配列が繰り返して出現するLCR(Low Copy Repeat)と呼ばれる配列があり、そのために通常とは異なる混み替え(非アレル間相同組み換え)が起こることがあります。この通常とは異なる組組み換えにより欠失が生じ、最低660kb以上の欠失があると、症状をきします。ダイアモンド・ブラックファン貧血はRPS17遺伝子、難聴はHOMER2遺伝子、原発性卵巣機能不全はBNC1遺伝子の欠失との関連が報告されています。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体顕性遺伝形式を示しますが、ほとんどが新生変異と考えられています。まれに、両親のどちらかから欠失を受け継ぐことで、症状を来す場合があります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

発達の遅れや知的発達症、神経発達症に加えて、先天性横隔膜ヘルニア、鼠径ヘルニア、漏斗胸、貧血、血栓症、心疾患、停留精巣、原発性卵巣機能不全、難聴、けいれん、斜視などを合併します。また貧血は、ダイアモンド・ブラックファン貧血の他、巨赤芽球性貧血、鉄欠乏性貧血の報告があります。

主な症状は以下の通りです。

  • 知的発達症:運動発達の遅れ、言語発達の遅れ
  • 神経発達症:自閉スペクトラム症など
  • 胸腹部の形態異常:先天性横隔膜ヘルニア、鼠径ヘルニア、漏斗胸、先天性心疾患など
  • 血液の異常:貧血、血栓症など
  • 泌尿器生殖の異常:停留精巣、原発性卵巣機能不全など
  • その他:筋緊張低下、成長障がい、低身長、難聴、けいれん、斜視など

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現時点で本疾患の根本的な治療法は確立していません。症状や合併症の重症度に応じた包括的な治療、療育が必要です。随伴するそれぞれの合併症に対しては対症療法が中心となります。専門家の指導のもとで継続的なケアを受けることが重要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

先天性横隔膜ヘルニアの重症度や、心疾患の有無が生命予後を左右します。知的発達症や神経発達症に対しては、生涯を通じたケアが必要となります。症状に応じた適切な治療や支援を受けることで、生活の質の改善が期待されます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

特別な注意は必要ありませんが、症状や合併症に応じた注意が必要です。

10. この病気に関する資料・関連リンク

詳細な情報やサポートを求める際は、信頼性のある医療機関のウェブサイトや関連する団体の情報を参考にすることが重要です。遺伝医療の専門医や専門の医療チームと相談することで、より詳しい情報を得ることができます。

●参考文献●

  1. Palumbo O, Palumbo P, Palladino T, Stallone R, Miroballo M, Piemontese MR, Zelante L, Carella M. An emerging phenotype of interstitial 15q25.2 microdeletions: clinical report and review. Am J Med Genet A. 2012 Dec;158A(12):3182-9. doi: 10.1002/ajmg.a.35631. Epub 2012 Nov 19. PMID: 23166063.
  2. Wat MJ, Enciso VB, Wiszniewski W, Resnick T, Bader P, Roeder ER, Freedenberg D, Brown C, Stankiewicz P, Cheung SW, Scott DA. Recurrent microdeletions of 15q25.2 are associated with increased risk of congenital diaphragmatic hernia, cognitive deficits and possibly Diamond–Blackfan anaemia. J Med Genet. 2010 Nov;47(11):777-81. doi: 10.1136/jmg.2009.075903. Epub 2010 Oct 4. PMID: 20921022; PMCID: PMC3225959.
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