疾患概要
(患者・ご家族の方向け)

49)FOXP1関連症候群(3p13欠失症候群)

1. 「FOXP1関連症候群(あるいは、3p13(さんぴーいちさん)欠失症候群)」とはどのような病気ですか

FOXP1遺伝子の変化により、発達の遅れあるいは知的発達症、神経発達症などのさまざまな症状を呈する、染色体微細構造異常症候群の1つです。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

正確な患者数は分かっていません。

3. この病気はどのような人に多いのですか

性別や人種差、生活習慣とは無関係に発症する可能性があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

3番染色体短腕(3p13領域)に位置するFOXP1遺伝子のバリアント(変化)が原因と考えられています。FOXP1遺伝子を含む3番染色体短腕の領域(3p13)の微細な欠失によっても生じます。FOXP1遺伝子は、脳や心臓、食道、肺、免疫細胞および脊髄運動ニューロンの発生などに関わっています。そのためこの遺伝子の機能の低下により、神経発達症が生じます。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体顕性遺伝形式を示しますが、親からの遺伝性の割合や浸透率(遺伝子のバリアントを有する方のうちで、実際に症状を発症する割合)など、詳細なことはわかっていません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

神経発達症(発達の遅れ、知的発達症など)が主な症状です。多くはFOXP1遺伝子のバリアント(変化)によるものですが、欠失による発症の場合には、欠失の大きさによりその中に含まれる遺伝子が異なるため、症状がより重度になったり、他の症状の合併が認められたりすることがあります。共通した顔立ちとして、①目立つ前額、②眼瞼下垂、③眼間開離を認めることがありますが、必須の症状ではありません。その他に、眼症状(弱視、遠視、斜視など)、先天性心疾患(心房中隔欠損症、動脈管開存、肺動脈狭窄など)、消化管症状(便秘、胃食道逆流、嚥下障害など)、聴力障がい、てんかんなどがみられることがあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現時点では、根本的な治療法は確立していません。患者さんの症状の程度に応じた包括的な健康管理が望まれます。他に随伴する多彩な合併症に対しては対症療法が中心となります。専門家の指導のもとで継続的なケアを受けることが重要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

一般に生命予後は良好であるとされていますが、合併症と程度により左右されます。症状に応じた適切な治療や支援を受けることで、生活の質の改善が期待されます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

特別な注意は必要ありませんが、症状や合併症に応じた注意が必要です。

10. この病気に関する資料・関連リンク

詳細な情報やサポートを求める際は、信頼性のある医療機関のウェブサイトや関連する団体の情報を参考にすることが重要です。遺伝医療の専門医や専門の医療チームと相談することで、より詳しい情報を得ることができます。

●参考文献●

  1. Rappold G, Siper P, Kostic A, et al. FOXP1 Syndrome. 2023 Sep 21. In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, et al., editors. GeneReviews® [Internet]. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993-2024. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK594825/
  2. Lozano R, Gbekie C, Siper PM, Srivastava S, Saland JM, Sethuram S, Tang L, Drapeau E, Frank Y, Buxbaum JD, Kolevzon A. FOXP1 syndrome: a review of the literature and practice parameters for medical assessment and monitoring. J Neurodev Disord. 2021 Apr 23;13(1):18.
  3. Meerschaut I, Rochefort D, Revençu N, Pètre J, Corsello C, Rouleau GA, Hamdan FF, Michaud JL, Morton J, Radley J, Ragge N, García-Miñaúr S, Lapunzina P, Bralo MP, Mori MÁ, Moortgat S, Benoit V, Mary S, Bockaert N, Oostra A, Vanakker O, Velinov M, de Ravel TJ, Mekahli D, Sebat J, Vaux KK, DiDonato N, Hanson-Kahn AK, Hudgins L, Dallapiccola B, Novelli A, Tarani L, Andrieux J, Parker MJ, Neas K, Ceulemans B, Schoonjans AS, Prchalova D, Havlovicova M, Hancarova M, Budisteanu M, Dheedene A, Menten B, Dion PA, Lederer D, Callewaert B. FOXP1-related intellectual disability syndrome: a recognisable entity. J Med Genet. 2017 Sep;54(9):613-623.
TOP