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SETD2神経発達症(3p21欠失症候群)
○概要
- 概要 SETD2関連症候群は、SETD2を含む3p21欠失またはSETD2遺伝子の病的バリアントによって引き起こされる稀な遺伝性疾患である。この疾患は、発達の遅れ、特徴的な顔貌、過成長、行動上の問題を主な特徴とする。
- 原因 SETD2関連症候群の原因は、SETD2を含む3p21欠失またはSETD2遺伝子の病的バリアントである。SETD2はヒストンメチルトランスフェラーゼをコードしており、ヒストンH3リジン36のトリメチル化を介してDNA修復や遺伝子発現調節に重要な役割を果たしている。この遺伝子の機能喪失や欠失は、細胞の正常な発達や修復機構を損ない、多様な臨床症状を引き起こす。
- 症状 SETD2関連症候群の主な症状は、さまざまな程度の知的障害、自閉症スペクトラム、大頭症、脳形成異常、過成長を伴う肥満、骨年齢亢進である。前額部突出、耳介低位などの特徴的顔貌がある。また、一部の患者ではてんかんや心疾患が見られることがある。
- 治療法 SETD2関連症候群に対する根治的治療法は現在確立されていない。理学療法、言語療法、行動療法などの対症療法を中心とした包括的なケアが推奨される。さらに、症状の多様性を考慮し、個別化された診療と支援が必要である。
- 予後 適切な診断と早期介入によって、患者の生活の質を向上させる可能性がある。しかし、症状の重症度や多様性により、予後は個々の患者で異なる。
○要件の判定に必要な事項
- 患者数 本邦での発症頻度は不明。
- 発病の機構 SETD2を含む3p21領域の欠失、またはSETD2遺伝子の機能喪失変異が原因。
- 効果的な治療方法 未確立 (根本的な治療法はない)。
- 長期の療養 必要 (生涯にわたり、症例に応じたケアが必要である)。
- 診断基準 あり (研究班が作成した診断基準あり)。
- 重症度分類 以下の1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。
- 難治性てんかんの場合。
- modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上の場合。
- 先天性心疾患があり、NYHA 分類で II 度以上に該当する場合。
○ 情報提供元
「マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人のより良い診断・診療体制の構築」研究班
研究代表者 東京女子医科大学 教授 山本俊至
<診断基準>
Definite を対象とする。
SETD2神経発達症(3p21欠失症候群)の診断基準
A.症状
【大症状】 1. 発達の遅れまたは筋緊張低下、知的障害 2. 脳形成異常 【小症状】 1. 大頭症 2. 過成長 3. 行動の問題(自閉症スペクトラムなど) 4. 関節可動域亢進
B. 検査所見
本症候群に特異的な検査所見はない。以下の所見を認める場合がある。
脳MRI:脳形成異常
C. 鑑別診断
他の染色体微細欠失症候群。
D.遺伝学的検査
何らかの遺伝学的検査によりSETD2を含む3p21領域の欠失、またはSETD2遺伝子の病的バリアントを認める。
<診断のカテゴリー>
Definite:Aのうち大症状の1を認め、Dの遺伝学的検査所見を満たしたもの。
<重症度分類>
以下の1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。
- 難治性てんかんの場合。
- modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上の場合。
- 先天性心疾患があり、NYHA 分類で II 度以上に該当する場合。
●参考文献●
- Pappas J, Rabin R. SETD2 Neurodevelopmental Disorders. 2021 Dec 30 [updated 2022 Sep 22]. In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, Pagon RA, Wallace SE, Amemiya A, editors. GeneReviews® [Internet]. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993–2025. PMID: 34978780.