疾患概要
(研究者・医療関係者の方向け)

Kleefstra症候群(EHMT1を含む9q34.3サブテロメア欠失症候群)

概要

1. 概要

 9番染色体長腕サブテロメア領域の欠失によって引き起こされる染色体サブテロメア欠失症候群の1つである。知的能力障害、神経発達症、てんかん、特徴的な顔貌などを示す。欠失領域に含まれるEHMT1遺伝子のハプロ不全による。EHMT1変異によって生じる病態はKleefstra症候群として知られる。9qサブテロメア欠失症候群の主な症状はKleefstra症候群と重なる。

2. 原因

 9番染色体長腕末端から約1-Mbに位置するEHMT1を含む9番染色体長腕サブテロメア欠失による。切断端は多様であり、欠失サイズもさまざまである。サブテロメア欠失は単純な欠失だけではなく、他の染色体サブテロメア領域との不均衡転座によっても生じる。

3. 症状

知的能力障害、筋緊張低下、小頭症、先天性心疾患(特に円錐幹の欠陥)、てんかん(約30%)、および特徴的顔貌(癒合したアーチ型の眉、眼間解離、短鼻、開いた口、および突出した舌など)を示す。その他、先天性心疾患(全患者の50%)、腎泌尿器奇形(全患者の10-30%)、睡眠障害や常同行為などの行動異常、外性器異常、難聴などが認められる。

4. 治療法

 根本的な治療法はない。てんかんに対しては、発作型に合わせた治療が必要である。神経発達症に由来する多動や行動障害に対しては、環境調整や必要に応じた薬物療法を要することがある。 

5. 予後

 合併症によるが、一般的に生命予後が不良であるという報告はない。

要件の判定に必要な事項

1. 患者数

不明。

2. 発病の機構

 9qサブテロメアの単純な欠失はde novoで生じる。不均衡転座による場合は、両親の一方が均衡転座保因者である可能性がある。

3. 効果的な治療方法

 未確立 (根本的な治療法はない)

4. 長期の療養

 必要 (生涯にわたり症状が持続する)

5. 診断基準

あり(研究班が作成した診断基準あり)

6.  重症度分類

以下の1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。

  • 難治性てんかんの場合。
  • modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上の場合。
  • 先天性心疾患があり、NYHA分類でII度以上に該当する場合。

情報提供元

「マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築」研究班

研究代表者 東京女子医科大学 教授 山本俊至

診断基準

Definiteを対象とする。

Kleefstra症候群(EHMT1を含む9q34.3サブテロメア欠失症候群)の診断基準

A.症状

【大症状】

  1. 知的能力障害(IQ70未満)
  2. 神経発達症
  3. 特徴的顔貌
  4. てんかん発作(てんかん発作のタイプは様々であり、点頭てんかんを生じる場合もある。)

*Iは必須項目。

B.検査所見

上記症状よりマイクロアレイ染色体検査を含む何らかの遺伝学的検査を実施し、9番染色体長腕サブテロメアの欠失を確認することにより確定される。ただし、欠失領域にEHMT1遺伝子を含んでいること。

C.鑑別診断

以下の疾患を鑑別する。

他の染色体微細構造異常を鑑別する。

D.遺伝学的検査

1.染色体9q34.3の欠失

<診断のカテゴリー>

Definite:Aのうち大症状のIを認め、染色体9q34.3の欠失を認めたもの。

<重症度分類>

1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。

  • 難治性てんかんの場合:主な抗てんかん薬2~3種類以上の単剤あるいは多剤併用で、かつ十分量で、2年以上治療しても、発作が1年以上抑制されず日常生活に支障を来す状態(日本神経学会による定義)。
  • modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象とする。
  • 先天性心疾患があり、NYHA分類でII度以上に該当する場合。

●参考文献●

  1. Kleefstra T, de Leeuw N. (2010) Kleefstra Syndrome. In: Adam MP, Everman DB, Mirzaa GM, et al., eds. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; October 5.
  2. Stewart DR, Kleefstra T. (2007) The chromosome 9q subtelomere deletion syndrome. Am J Med Genet C Semin Med Genet; 145C(4):383-92.
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