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PRRT2、SEZ6L2、TAOK2、TBX6を含む16p11.2微細欠失/重複症候群
概要
1. 概要
16番染色体短腕16p11.2領域の欠失/重複によっておこる染色体異常症候群である。運動あるいは言語における発達の遅れ、神経発達症、運動協調性障害、精神疾患等を特徴とする。
2. 原因
分節的繰り返し配列が両切断点に存在するPRRT2、SEZ6L2、TAOK2、TBX6を含むchr16:29.7-30.2 Mb領域の非アリル間相同染色体組換によって生じる欠失/重複が原因である。De novo、あるいは顕性遺伝で両親のうちの一方からの遺伝(母由来が多い)で発症する。ただし、欠失/重複を有していても症状を呈さない場合もあり、浸透率が低い。
3. 症状
精神疾患・行動異常>90%、運動あるいは言語における発達の遅れ80%、言語障害80-90%、肥満75%、協調運動障害60%、神経発達症20-25%、脊椎形態異常21%、難聴<11%、発作性運動誘発性ジスキネジア<9%、心臓の形態異常6%。運動あるいは言語における症状では失行、構音障害などがあり、症状の程度には軽度から中等度まで幅がある。肥満は青年期初期から成人期を通じてみられる。
4. 治療法
肥満に対しては発症前の幼少期より食事管理を行うことが有益である。療育等の早期介入、各々に対応した治療が必要である。また、無症状な人も含めて遺伝学的診断に基づく遺伝カウンセリングが欠かせない。
5. 予後
5歳頃までは感染反復の報告もあるが、5歳以降は落ち着く。
要件の判定に必要な事項
1. 患者数
不明である。
2. 発病の機構
非アリル間相同染色体組換が原因と想定されるが、無症状の血縁者と共有している場合があり、浸透率が低い。
3. 効果的な治療方法
未確立 (根本的な治療法はない)
4. 長期の療養
必要 (生涯にわたり症状が持続する)
5. 診断基準
あり(研究班が作成した診断基準あり)
6. 重症度分類
以下の1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。
- 難治性てんかんの場合。
- modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上の場合。
- 先天性心疾患があり、NYHA分類でII度以上に該当する場合。
情報提供元
「マイクロアレイ染色体検査で明らかになる染色体微細構造異常症候群を示す小児から成人の診断・診療体制の構築」研究班
研究代表者 東京女子医科大学 教授 山本俊至
診断基準
Definiteを対象とする。
16p11.2微細欠失/重複症候群の診断基準
A.症状
【大症状】
- 知的能力障害(IQ 70未満)
- 神経発達症:自閉スペクトラム症、注意欠陥多動性障害、不安障害、強迫性障害など
- 運動協調性障害
- 言語障害
- 肥満
*Iは必須項目。
【小症状】(合併しうる症状)
- 協調運動障害
- けいれん
- 大頭
- 特徴的顔貌(約半数で軽度の顔貌の特徴がみられる、顔面中部平坦化、幅広い前頭部、小顎、眼瞼裂斜下、内眼角贅皮、耳介低位、薄い口唇と平坦な人中、小さくて曲がった歯など)
- 脊椎形態異常
- 難聴
- 発作性運動誘発性ジスキネジア
- 先天性心疾患
- 頭蓋骨縫合早期癒合症
B.検査所見
上記症状よりマイクロアレイ染色体検査を含む何らかの遺伝学的検査を実施し、16番染色体短腕p11.2領域の欠失/重複を確認することにより確定される。
C.鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
他の染色体微細構造異常による症候群
D.遺伝学的検査
1.染色体16p11.2領域の欠失/重複
<診断のカテゴリー>
Definite:Aのうち大症状のいずれかを認め、染色体16p11.2領域の欠失/重複を認めたもの。
Possible:遺伝学的検査結果が合致しても、症状を満たさない場合。
<重症度分類>
1)~3)のいずれかに該当する者を対象とする。
- 難治性てんかんの場合:主な抗てんかん薬2~3種類以上の単剤あるいは多剤併用で、かつ十分量で、2年以上治療しても、発作が1年以上抑制されず日常生活に支障を来す状態(日本神経学会による定義)。
- modified Rankin Scale(mRS)、食事・栄養、呼吸のそれぞれの評価スケールを用いて、いずれかが3以上を対象とする。
- 先天性心疾患があり、NYHA分類でII度以上に該当する場合。
●参考文献●
- Taylor CM, et al. (2009) 16p11.2 Recurrent Deletion. In: Adam MP, Everman DB, Mirzaa GM, et al., eds. GeneReviews®. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; September 22.
- Weiss LA, et al. (2008) Association between microdeletion and microduplication at 16p11.2 and autism. N Engl J Med; 358(7):667-75.