疾患概要
(患者・ご家族の方向け)

40)17q12重複症候群

1. 「17q12(じゅうななきゅーいちに)重複症候群」とはどのような病気ですか

17番染色体長腕(17q12領域)の一部が重複することにより、言語発達の遅れ、筋緊張低下、運動発達の遅れなどを主症状とする、染色体微細構造異常症候群の1つです。発達の遅れの程度は軽度から重度まで幅広く、他にも様々な症状をきたします。自閉スペクトラム症や統合失調症などの神経・精神疾患、攻撃性や自傷行為などの行動上の問題も報告されています。てんかん発作、小頭症、眼科的所見、内分泌疾患、成長障がい、腎臓や心臓の疾患等も報告されています。症状の有無やその程度は、患者さんによって大きく異なります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか

正確な患者数は分かっていません。

3. この病気はどのような人に多いのですか

性別や人種差、生活習慣とは無関係に発症する可能性があります。

4. この病気の原因はわかっているのですか

17q12重複症候群は、17番染色体長腕q12領域から1.4Mbの領域に、同じような配列を持つ繰り返し配列があるために、本来は隣同士で交換するはずが、少し離れた別の配列と交換する非アレル間相同組み換えによって反復重複する生じることで発症します。

5. この病気は遺伝するのですか

常染色体顕性遺伝形式を示します。患者さんの約90%が親からの遺伝で、約10%が新生変異として生じます。重複が親に存在しても、親の症状は軽微であったり、全く症状が見られなかったりする場合もあります。

6. この病気ではどのような症状がおきますか

下記のような多彩な症状を示します。

  • 発達の遅れ、もしくは知的発達症:約7割の患者さんに認め、境界域から重度域まで幅広い症状を認めます。約6割の患者さんでは、言語発達の遅れも見られます。
  • 筋緊張低下・運動発達遅滞: 約5〜7割の患者さんに、筋緊張低下(筋肉の張りの弱さ)や運動発達の遅れを認めます。
  • 行動および精神の障がい:攻撃性や自傷行為などの行動の問題や、統合失調症の合併が一部の患者さんで見られます。
  • てんかん: 約4割の患者さんがてんかん発作を経験しています。
  • 頭部MRI検査所見: 約4割の患者さんで小頭症を認めます。
  • 眼科所見: 約3割の患者さんで、斜視、乱視、白内障などがみられます。
  • 成長障害:低身長(約2割)あるいは、高身長の場合があります。
  • 内分泌疾患: 約3割の患者さんで、糖尿病、成長ホルモンの不足、電解質異常などの内分泌系の異常見られます。
  • 心疾患・腎疾患: 心室中隔欠損、馬蹄腎、腎嚢胞などが報告されています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか

現時点では、本疾患の根本的な治療法は確立していません。患者さんの症状や合併症に合わせた治療が必要です。知的発達症や神経発達症に対しては、生涯を通じたケアが必要となります。治療は症状に応じて個別に行われ、発達の遅れや知的発達症がある場合には、神経発達小児科医や臨床心理士、精神科医による評価が必要です。てんかん発作は小児神経科医による標準的な治療が行われます。視力、内分泌系、心臓、腎臓の症状がある場合は、それぞれの専門医の管理が必要です。定期的な発達の評価や心理評価、発作症状の有無の確認、栄養状態の評価が推奨されます。専門家の指導のもとで継続的なケアを受けることが重要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか

生命予後が不良であるという報告はありません。知的発達症や神経発達症の程度はさまざまであり、全体的な予後は早期診断と適切な治療によって改善が期待されます。また、てんかん発作や行動の障がいなどの適切な管理によって、生活の質の向上が期待できます。

9. この病気は日常生活でどのような注意が必要ですか

特別な注意は必要ありませんが、症状や合併症に応じた注意が必要です。

10. この病気に関する資料・関連リンク

詳細な情報やサポートを求める際は、信頼性のある医療機関のウェブサイトや関連する団体の情報を参考にすることが重要です。遺伝医療の専門医や専門の医療チームと相談することで、より詳しい情報を得ることができます。

●参考文献●

  1. Mefford H. 17q12 Recurrent Duplication. 2016 Feb 25 [Updated 2022 Jan 13]. In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, et al., editors. GeneReviews® [Internet]. Seattle (WA): University of Washington, Seattle; 1993-2024. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK344340/
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